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豚のゲームを作っていると、「豚って何種類いるんですか」と聞かれます。日本で純粋種として登録・飼育されているのは、基本的に6品種です。ここを押さえておくと、スーパーの「三元豚」も、専門店の「◯◯ポーク」も、だいたい読めるようになります。
まず一覧で
| 品種 | 記号 | 原産 | 毛色 | 成豚体重の目安 | 主な役目 |
|---|---|---|---|---|---|
| ランドレース | L | デンマーク | 白 | 300〜380kg | 母系 |
| 大ヨークシャー | W | イギリス | 白 | 340〜380kg | 母系 |
| 中ヨークシャー | Y | イギリス | 白 | 200〜250kg | ほぼ絶滅寸前 |
| デュロック | D | アメリカ | 褐色 | 300〜380kg | 父系 |
| ハンプシャー | H | アメリカ | 黒+白帯 | 250〜350kg | 父系 |
| バークシャー | B | イギリス | 黒(六白) | 200〜250kg | 純粋種のまま(黒豚) |
大ヨークシャーの記号が Y ではなく W なのは、英語名が Large White だからです。Y は中ヨークシャーに使います。
ランドレース(L)
白くて、胴が長くて、耳がべたっと前に垂れている豚。デンマークの在来種に大ヨークシャーを掛けて成立しました。日本で飼われている純粋種としては最も数が多く、事実上の標準品です。
強みは繁殖能力。産子数が多く、乳もよく出るので子豚がよく育ちます。肉は背脂肪が薄くて赤身の割合が高く、ベーコンをはじめとした加工に向く。要するに「たくさん産んで、たくさん育てて、無駄が少ない」という、経営から見ていちばん都合のいい豚です。母系の主役なのはそのためです。
大ヨークシャー(W/Large White)
同じく白ですが、こちらは耳が立っていて、体は長方形にどっしり。イギリス・ヨークシャー州の在来豚に、中国種・ネアポリタン種・レスター種などを掛け合わせて、1870〜1880年ごろまでに固まったとされます。
ベーコンタイプの代表格で、赤身と脂のバランスがよく、加工原料としての評価が高い。ランドレース同様に多産で、日本ではこの二つを掛けた雌(LW)が母豚の定番になっています。
中ヨークシャー(Y)
中型。顔が短く、鼻がぐいとしゃくれ上がっているのが特徴で、これは成立過程で中国豚が入っているためです。小ヨークシャーと大ヨークシャーの交配を軸に、1885年に品種として統一されました。
昭和30年ごろまでは、日本の豚のほとんどがこれでした。それが大型種に置き換わって、いまや飼育頭数はごくわずか。理由は単純で、育つのが遅く、体が小さく、暑さ寒さにも弱いから。ただし肉の味は今でも高く評価されていて、これを守っている生産者が少数います。
「効率で負けたが、味では負けていない」──育成ゲーム的にいちばんそそる品種です。
デュロック(D)
褐色(赤茶)の大型種。アメリカのニューヨーク州系の赤豚と、ニュージャージー州のジャージーレッド種を掛け合わせて作られ、かつてはデュロック・ジャージーと呼ばれていました。個体による色の濃淡が大きいのも特徴です。
性質はおとなしく、体が丈夫で暑さに強い。そして筋肉内脂肪=サシが入りやすい。日本ではもっぱら、仕上げの父豚として使われます。三元豚の最後の「D」がこれです。
ハンプシャー(H)
黒地に、肩から前肢へ帯のように白が回る。この白帯をサドルバックと呼びます。イギリス由来の帯付き豚をアメリカが輸入して改良し、1904年にハンプシャーの名で統一されました。
背脂肪が薄く、赤身が多く、ももが充実している。産子数はやや少ないものの哺育がうまく、飼料効率もいい。アメリカでは登録頭数の多い主力品種ですが、日本では父豚として使われる程度で、飼育頭数はそれほど多くありません。
バークシャー(B)=黒豚
中型。全身が黒く、鼻先・四肢の先・尾の先の6か所だけが白い。これを「六白」と呼びます。イギリス西部バークシャー地方の在来豚に、シャム(タイ)・ナポリタン(イタリア)・中国種などを掛けて改良され、1862年ごろに品種として公認されました。
日本では鹿児島を中心に飼われ、「黒豚」を名乗れるのはバークシャー100%の純粋種だけです。交雑が当たり前の豚の世界で、これだけが純血のまま守られている。理由は身も蓋もなくて、うまいからです。
もっとも、生産者から見ると割に合いません。育てる期間が長く、産子数は少なめ、取れる肉の量も少ない。おまけに気性が荒くて神経質。それでも肉質の緻密さ、脂の甘さと風味の良さが、その手間に見合うと認められている、という品種です。
ゲームの系統と重ねてみる
『PIGVORIA 爆走ブタ伝説』の13系統は架空のものですが、能力の割り振り方は現実の品種の役割分担をなぞっています。読み替えるとこんな具合です。
| 現実の品種 | 効いている形質 | ゲームで言うと |
|---|---|---|
| ランドレース・大ヨークシャー | 多産・育成率・発育の早さ | 母系にすると子がよく出る系統 |
| デュロック | サシ・強健・仕上がりの良さ | 父系に置いて完成度を上げる系統 |
| ハンプシャー | 赤身・飼料効率 | 力・根性寄りの系統 |
| バークシャー・中ヨークシャー | 肉質。ただし遅い・少ない | 晩成で扱いにくいが、当たると大きい |
「母系に何を置き、父系に何を持ってくるか」という発想そのものが、現実の養豚から来ています。その完成形が三元豚です。→ 三元豚(LWD)の仕組みへ
食べて確かめる
読んだあとにいちばん効くのは、実物を食べ比べることです。純粋種で手に入りやすいのはバークシャー(黒豚)。三元豚との差は、脂を口に入れた瞬間にわかります。
鹿児島黒豚(バークシャー純粋種)── 脂を確かめるならしゃぶしゃぶで