音楽 2026.08.18

クラシックの名曲7つを、ピアノひとつで鳴らしてみました

こんにちは、歌流茶亭の星海奏です。

新しい企画を始めました。誰もが聴いたことのあるクラシックの名曲を、楽譜のデータから音にして、1曲ずつ解説していく試みです。

先にお伝えしておきます。この演奏はサンプリング音源による合成であり、人間の演奏ではありません。 パブリックドメインで公開されている楽譜データを音に変換したもので、演奏解釈の入った録音とは別のものです。どの曲にも名演奏家による録音が山ほどあります。それに置き換わるものではありません。

では何のためにやるのか。楽譜に書かれていることだけを、余計な解釈を挟まずに鳴らすと、曲の骨組みがそのまま出てきます。この企画は、演奏を聴くためではなく、曲の設計図を眺めるためのものです。

7曲を選びました

今回は7曲。全部で29分41秒あります。すべて同じピアノ音源で統一しました。楽器が変わると印象が変わってしまうので、比べるためには揃えたほうが都合がよいのです。

曲順は作曲家の生年順にしました。1653年生まれのパッヘルベルから、1866年生まれのサティまで、およそ200年ぶんです。狙ったわけではないのですが、結果として静かに始まって静かに終わる並びになりました。

作曲家長さ
1[カノン ニ長調](https://karuchatei.com/119/)パッヘルベル(1653-1706)4分17秒
2[四季「冬」第1楽章](https://karuchatei.com/121/)ヴィヴァルディ(1678-1741)1分57秒
3[無伴奏チェロ組曲 第1番 前奏曲](https://karuchatei.com/114/)バッハ(1685-1750)2分17秒
4[トッカータとフーガ ニ短調](https://karuchatei.com/115/)バッハ(1685-1750)9分44秒
5[幻想曲 ニ短調 K.397](https://karuchatei.com/118/)モーツァルト(1756-1791)4分44秒
6[月光ソナタ 第1楽章](https://karuchatei.com/116/)ベートーヴェン(1770-1827)4分08秒
7[ジムノペディ 第1番](https://karuchatei.com/120/)サティ(1866-1925)2分33秒

全曲版(YouTube・29分41秒)

数えてみると見えてくること

楽譜をデータとして扱うと、印象で語っていたことに数字がつきます。7曲を同じ物差しで測ってみました。

いちばん驚いたのは、バッハの無伴奏チェロ組曲の前奏曲が、656個の音すべてが単音だったことです。同時に鳴る音が最初から最後までひとつもありません。それなのに、聴いていると和音の進行がはっきり分かります。チェロ1本で和音を弾かずに和音を感じさせる、というのは知識としては知っていましたが、数えてみるとその徹底ぶりに驚きます。

逆にいちばん音が多いのはトッカータとフーガで、143小節に3,651音。1小節あたり25音です。ジムノペディは47小節で282音なので、1小節あたり6音。同じピアノで鳴らしても、曲によって音の詰まり方が4倍違います。

同時に鳴る音の数を平均すると、ジムノペディが2.52声でいちばん厚く、チェロ組曲が1.00声でいちばん薄い。あの静かなジムノペディが、この7曲でもっとも和音の厚い曲だというのは、少し意外でした。左手がずっと和音を刻み続けているからです。

楽譜はどこから

すべてパブリックドメインか、それに準じるライセンスで公開されている楽譜データを使っています。

6曲はMutopia Projectから。ボランティアがクラシックの楽譜をLilyPond形式で作り、公開しているアーカイブです。月光ソナタだけはIMSLPのペータース版のPDFを、楽譜認識ソフトで読み取って音にしました。

カノンはCC BY 4.0、四季「冬」はCC BY-SA 3.0の楽譜を使っています。浄書した方々の名前は各記事に記しました。残りの5曲はパブリックドメインです。

音源はVCSLのスタインウェイBで、これもCC0です。楽曲・楽譜・音源のすべてを、権利のはっきりした素材だけで組みました。

各曲の記事へ

1曲ずつ、別の記事に書きました。作られた経緯、楽譜に書かれていること、そして数えて分かったことを並べています。


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同じ仕組みで作った別のシリーズです。あちらは録音がほとんど存在しない19世紀の女性作曲家を扱っています。誰もが知っている曲と、誰も知らない曲。同じ機械にかけると何が違って聞こえるのか、読み比べていただけたらと思います。

こちらも同シリーズです。44曲を作品番号順に並べたとき、短調の扱いがどう変わっていくかを追いました。


出典

小節数・音数・音域・平均同時発音数は、使用した楽譜データから実測した値です。テンポは楽譜データに記録された数値であり、作曲者の指定とは限りません。

一言どうぞ

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